2018年10月27日
「7つの言葉」への想い
本欄が「言いたいほうだい」という名称だからと言って、私はこれまで、勝手気ままな投稿をしてきたことはない。本欄へ投稿する全ての人も、自らの活動、研究、経験などを基に、真面目な、善意で投稿していると思う。
私はここ最近、いくつかの事例を基に、「学ぶ」「語る」「考える」「教える」「思う」「示す」「問う」という動詞の7つの言葉を使い、沼津駅付近鉄道高架事業について、本欄で問題の提起と再検証を求めてきた。ご記憶にあるだろうか。
「学ぶ」では、秋田県の「八郎潟干拓」の事業を取り上げた。その大潟村を訪問し、コメ問題を例に、未来の社会を見通す難しさと、一方、先を見通す目の大切さを学んだと。
「語る」では、茨城県の「霞ヶ浦」の導水事業を取り上げた。事業は計画から56年経つが未完成で、その経緯を説明した。そのうえで未完の水路は、社会の変化を踏まえて費用対効果を検証し、正確な情報の公開と、住民と共に、事業の継続か見直しかを考える姿勢が必要だと語っていると。
「考える」では、輸送構造の変革と旧国鉄の貨物合理化政策を説明し、沼津新貨物駅は「貨物駅と物流」の関連性をよく考えたうえで、その是非を含めて検討することが必要だと再考を求めた。
「思う」では、秋田県田沢湖町にある劇団「わらび座」を取り上げた。このまちへ訪れて強く感じたのが、まちづくりには、どういうまちにしていくか、しっかりとしたビジョンに基づき進めていくことが大切だと、沼津への思いを綴った。
「教える」では、長崎県の「石木ダム」水没予定地に住む住民のダム建設反対運動を取り上げた。そして、公共事業には「住む人たちの土地への愛着、生活、文化、歴史」を見ることと、事業への「客観的な必然性」が必要であることを石木ダムが教えていると。
「示す」では、人口減少の日本で未来に起きる出来事を予測した、河合雅司さんの著書『未来の年表』を紹介。この本にある未来は、沼津だけが例外ではなく、未来を見据えたまちづくりが必要であることを示していると。
「問う」では、今も進められている「整備新幹線」を取り上げた。国土交通省は、同事業の人件費や資材費の高騰で3,500億円が不足すると、来年度予算で追加要求している。不足額を入れると、費用便益費は着工目安の「1.0」を下回ることも。この例からも沼津鉄道高架の費用便益費が、2.7から1.5 、そして1.24と見直すも、事業費(787億円)は計画時のままで曖昧だと指摘した。
以上の7つの投稿が、為政者らへどのように伝わっているのだろうか。9月定例会は終わったが、この1年間の市議会でのやり取りを見ていても、納得できるものがない。
そして、今月30日には新貨物駅用未買収地の強制収用に必要な手続きに入るとの市長表明。このまま立ち止まることなく、これで本当に未来の沼津市民は幸せなのだろうか。
(元沼津市総合計画審議会委員 中山康之)
平成30年10月23日 沼津朝日新聞コラム「言いたいほうだい」
私はここ最近、いくつかの事例を基に、「学ぶ」「語る」「考える」「教える」「思う」「示す」「問う」という動詞の7つの言葉を使い、沼津駅付近鉄道高架事業について、本欄で問題の提起と再検証を求めてきた。ご記憶にあるだろうか。
「学ぶ」では、秋田県の「八郎潟干拓」の事業を取り上げた。その大潟村を訪問し、コメ問題を例に、未来の社会を見通す難しさと、一方、先を見通す目の大切さを学んだと。
「語る」では、茨城県の「霞ヶ浦」の導水事業を取り上げた。事業は計画から56年経つが未完成で、その経緯を説明した。そのうえで未完の水路は、社会の変化を踏まえて費用対効果を検証し、正確な情報の公開と、住民と共に、事業の継続か見直しかを考える姿勢が必要だと語っていると。
「考える」では、輸送構造の変革と旧国鉄の貨物合理化政策を説明し、沼津新貨物駅は「貨物駅と物流」の関連性をよく考えたうえで、その是非を含めて検討することが必要だと再考を求めた。
「思う」では、秋田県田沢湖町にある劇団「わらび座」を取り上げた。このまちへ訪れて強く感じたのが、まちづくりには、どういうまちにしていくか、しっかりとしたビジョンに基づき進めていくことが大切だと、沼津への思いを綴った。
「教える」では、長崎県の「石木ダム」水没予定地に住む住民のダム建設反対運動を取り上げた。そして、公共事業には「住む人たちの土地への愛着、生活、文化、歴史」を見ることと、事業への「客観的な必然性」が必要であることを石木ダムが教えていると。
「示す」では、人口減少の日本で未来に起きる出来事を予測した、河合雅司さんの著書『未来の年表』を紹介。この本にある未来は、沼津だけが例外ではなく、未来を見据えたまちづくりが必要であることを示していると。
「問う」では、今も進められている「整備新幹線」を取り上げた。国土交通省は、同事業の人件費や資材費の高騰で3,500億円が不足すると、来年度予算で追加要求している。不足額を入れると、費用便益費は着工目安の「1.0」を下回ることも。この例からも沼津鉄道高架の費用便益費が、2.7から1.5 、そして1.24と見直すも、事業費(787億円)は計画時のままで曖昧だと指摘した。
以上の7つの投稿が、為政者らへどのように伝わっているのだろうか。9月定例会は終わったが、この1年間の市議会でのやり取りを見ていても、納得できるものがない。
そして、今月30日には新貨物駅用未買収地の強制収用に必要な手続きに入るとの市長表明。このまま立ち止まることなく、これで本当に未来の沼津市民は幸せなのだろうか。
(元沼津市総合計画審議会委員 中山康之)
平成30年10月23日 沼津朝日新聞コラム「言いたいほうだい」
Posted by
一太郎
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22:51
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沼津市政
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