2018年08月24日

「未来の年表」が示すもの 

(平成30年8月23日付 沼津朝日新聞コラム「言いたいほうだい」)

本屋で、何も関心がない本であれば通り過ぎてしまうのだが、昨年、そして今年と、私の足が止まった。昨年は「未来の年表」、今年は「未来の年表2」という本である。その2冊とも著者は河合雅司さん。近未来の人口減少日本で起きることを予測している。
特に私の目に飛び込んできたのは、昨年出版された本の帯に並ぶ衝撃的な言葉である。「2020年女性の半数が50歳超え」。すぐの東京オリンピック・パラリンピック開催の年である。
そして「2024年全国民の3人に1人が65歳以上」「2027年輸血用血液が不足」「2033年3戸に1戸が空き家に」「2039年火葬場が不足」「2040年自治体の半数が消滅」「2042年高齢者人口がピークを迎える」と続く。
これから20年ちょっとの間に起きる事象である。1つ1つの事象は、国立社会保障・人口問題研究所のデータを基にしたもので、現実的な予測である。そして、すべてが国のありようと私たちの生活に関わる問題でもある。自分なりに、これからどういう社会になるのか、漠然と分かっているつもりでも、改めて考えさせられる。
翻って沼津のまちは、これらの事象を踏まえたまちづくりが進められているのだろうか。ずっと市政を見てきた中で、そうとは思えない。沼津駅周辺の鉄道高架化がまちを元気にさせるとしている限り、沼津市は「未来の年表」が示す社会を分かっていない、と思わざるを得ない。
平成29年以降の鉄道高架化事業費(1,280億円)のうち、市は関連事業を含めて405億円負担する(市のホームページ)。すでに自主財源の3倍となる1,300億円の借金を抱えた上で、405億円の負担である。鉄道高架化にこれほどの財源をかけて沼津のまちにメリットがあると言えるのか。人口減少と沼津市の財政を考えれば一目瞭然である。なぜ再検証をしようとしないのか。
市長や議会は再検証しないというのであれば、それこそ未来に対する危機感の欠如と無責任な対応である。そのことは未来の沼津を不幸にさせることになる。
鉄道高架化は、これから着工しても15~20年はかかる。「未来の年表」で見れば、完成は2040年の、ちょっと前ぐらいで、「半数の自治体が消滅する」頃である。
静岡県や沼津市は、鉄道高架化事業の形式的な説明はするが、人口減少の中での未来の税収と財政全般の支出との関連性について、説得力ある説明をしているとは思えない。未だに市民の理解とまではいたっていない。
市長や議会は、「未来の年表」に示されている事象を認識するとともに、再検証をし、市民の声を聞くべきである。   中山康之(元沼津市総合計画審議会委員) 
「未来の年表」が示すもの 


同じカテゴリー(沼津市政)の記事画像
「わらび座」で思うこと
「鉄道高架見直し」市民集会
「未完の水路」は語る
「八郎潟干拓」に学ぶ
沼津鉄道高架訴訟
期待は失望と怒りへ
同じカテゴリー(沼津市政)の記事
 「そのことはもういい」のか ー沼津駅鉄道高架ー (2018-12-15 22:29)
 「7つの言葉」への想い (2018-10-27 22:51)
 「整備新幹線」が問うもの (2018-09-16 16:13)
 「わらび座」で思うこと (2018-07-09 15:27)
 「 『石木ダム』が教えるもの 」 中山康之 (2018-03-15 19:06)
 「鉄道高架見直し」市民集会 (2018-01-08 19:14)

Posted by 一太郎 at 13:02 │Comments( 0 ) 沼津市政
※このブログではブログの持ち主が承認した後、コメントが反映される設定です。
上の画像に書かれている文字を入力して下さい
 
<ご注意>
書き込まれた内容は公開され、ブログの持ち主だけが削除できます。

削除
「未来の年表」が示すもの 
    コメント(0)