2011年04月03日

静岡県有識者会議

「改めて『有識者会議に期待』」中山康之(沼津朝日 平成23年4月1日号)

 沼津駅付近鉄道高架事業に関する有識者会議は、これまで「事業概要」「交通対策」「物流」「地域振興」という内容で4回開催されてきました。予定では、あと2回開催されることになっています。
 その2回の会議は、これまでの「意見の取りまとめの視点、方向性」と「報告書の取りまとめ」となっており、大詰めを迎えようとしています。
 私は、これまでに開催された会議4回のうち2回を傍聴しました。また傍聴できなかった会議の内容については、静岡県のホームページで、その議事録に目を通し、会議全体の経過、内容などをつかんできました。
 私は、この有識者会議の第1回の開催後、本欄(平成22年10月3日付)に「有識者会議に期待」というタイトルで投稿しましたが、会議が最終場面を迎えようとしている中で、改めて有識者会議に期待したいとの思いで筆をとりました。
 会議は、これまで回ごとのテーマに沿って検討されてきましたが、全体的な会議の流れは、鉄道高架を前提にして展開されてきているように思います。
 この有識者会議は、川勝平太知事が「社会経済情勢の変化を踏まえ、客観的かつ科学的見地から検証する」ということで設けられたはずです。また第1回の有識者会議の席上、川勝知事からは「国家的な観点から受け止めてもらいたい」との発言もありました。しかしながら、これまでの会議は、その趣旨と発言に沿って検証されてきているとは言えないと思います。
 私は、現在の沼津駅周辺の状況から、鉄道高架も有効であるということを否定するつもりはありませんが、「費用対効果」「財政」と「社会経済情勢」の視点からの検討が十分にはされていないと思います。
 先日(3月24日)の第4回会議では「地域振興」がテーマでしたが、「鉄道高架の費用対効果」「県と市の財政」に触れた委員がいました。
 その説明は、「費用対効果」は国土交通省の最新の計算方式と期間の見直し(40年間から50年間に変更)で計算すると、費用便益が当初見込みの「2.74」から「1.3乃至1.7」に下がってしまうが効果はある、というものでした。
 しかし、事業に要する費用(金利含めて)をどう見ているのか、工事などに伴う損失を、どう見ているのかが分かりませんでしたし、期間を見直すことで便益数値が大きく変わってしまったことを見ても分かるように、前提条件によって数字はいくらでも変わってきます。
 また「財政」では、沼津市の公債費比率がピーク時の年でも13.9%であり、起債制限の15%未満なので大丈夫との説明でした。しかし、公債費比率が10%を超えており、決して望ましい財政とは言えないと思います。
 さらに、全体の歳入、歳出をどのように見ているのか、その他の事業などをどう見ているのかが全く分かりません。単に机上の計算に過ぎないと思います。
 第3回の「物流」で検討された鉄道貨物駅の問題では、地域の産業経済、そして物流という面から「貨物駅は地域にとって必要」という認識を各委員が持たれているように思いました。
 しかし、貨物駅の要、不要を論ずる前に、鉄道高架の是非を十分に検討することが求められているのではないでしょうか。そして、その検討結果によって、貨物駅を移すのか、今のままにしておくのか、ということがでてくるのではないでしょうか。
 そういった点からも有識者会議では、まず前段で申し上げた「費用対効果」「財政的な根拠」が十分に検討されなければいけないと思います。
 さらに、「少子高齢化、人口減少に伴う社会経済構造の変化」「国、地方の借金」「東日本大震災による被災地の復興」など、国家的、今日的な社会経済情勢を踏まえた検討が必要だと思います。川勝知事が有識者会議を設けた意義は、そこにあるのではないのでしょうか。
 残された、あと2回の会議では、これらのことについて十分な検討をいただけるものと信じています。そして改めて、この会議が「市民に納得できる内容」と「沼津のまちの将来にとって希望の持てる内容」に取りまとめられることを心から期待しています。
(『プリセットー故郷沼津、再生へのメッセージ』著者、本郷町)


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Posted by 一太郎 at 21:45 │Comments( 0 ) 沼津市政
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