2011年06月19日

沼津駅付近鉄道高架事業に関する静岡県有識者会議

「なんだった?有識者会議」 中山康之(沼津朝日 平成23年6月17日号)

 沼津駅付近鉄道高架事業に関する静岡県有識者会議は先日、最終の第6回会議で、県による高架設置の事業計画を妥当とする報告書を川勝平太知事に提出することとしました。
 私は、有識者会議に期待したいとの思いで、これまで傍聴してきました。そして、その思いを2度にわたって「有識者会議に期待する」というタイトルで本紙に投稿しました。
 しかし、「期待する」という思いは「なんだったのか」という疑念に変わりました。有識者会議による高架設置が妥当という結論は、会議を設けた趣旨である「社会経済情勢の変化を踏まえ、客観的かつ科学的見地から検証する」ということと、川勝知事の「国家的な観点から受け止める」との発言からも、理解することができない思いでいっぱいです。
 行政当局や委員諸氏は「社会経済情勢の変化」「国家的な観点」という言葉を理解することができない人達だったのかと残念に思います。確かに、会議は最初から最後まで高架を前提として行政主導で進められてきました。結果は見えていたということでしょうか。それでも私は、これも検証の過程だとして、最後まで理解しようと思ってきました。
 私は、高架そのものは悪いものでないと思っていますが、同時に考えることは、ますます悪化する国・地方の財政、東駿河湾環状道路など周辺道路の整備状況、県東部地域における貨物の流動、沼津市の人口減少の深刻さ、東日本大震災による被災地の復興など総合的に考えれば、費用が軽減できる橋上駅などの方法で対処すべきだと考えます。
 「社会経済情勢」や「国家的な観点」という言葉を理解しない行政当局者や委員諸氏には、小さな子供たちへ話しかけるようなもっとわかりやすい言葉で、「お金がないのに高い物は買えない。それ以上に今、まちでは安心なまちづくりや魅力あるまちづくりなど、やることがたくさんある」ということを教えてあげたい気持ちになります。
 貨物駅予定地については、知事は「在任中は強制収用しない」と言明しています。最終会議の席上でも知事は「地権者に強権を発して進めることではない」と発言しています。このことは、地権者への理解が前提になることを示しています。
 高架問題については、あらためて市民の判断を仰ぐべきだと思っています。これまでの市長選挙などの投票率の結果からも、賛否が明確になっているとは思えません。また、かつて鉄道高架の賛否を問うための住民投票条例制定を求めた署名運動では55,758人という有権者の3分の1に近い数が集まっています。
 当時の斉藤衛市長は、これだけの署名を無視して「条例の必要なし」との意見書をつけて市議会へ付議しました。そして、市議会は住民投票条例の制定を否決したのです。5年半前の平成17年の出来事です。
 高架問題に対しては潜在的に疑問を抱く市民がたくさんいます。市長、市議会議員は、このことを重く受け止めて対応していただきたいと思います。
(「プリセットー故郷沼津、再生へのメッセージ」著者、本郷町)


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Posted by 一太郎 at 09:05 │Comments( 0 ) 沼津市政
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